どうでもよくない日記

とりとめない日記です。

絵本記録8

「きつねのホイティ」(シビル・ウェッタシンハ)

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スリランカの絵本。3人のおかみさんたちがとても元気で笑ったり怒ったり踊ったり、イキイキしているのがとてもいい。(一方で旦那さんたちがずっと無表情で何も言わず我関せずなのがなんだか面白い。名前ではわからなかったけど、ウィキペディアを見てみたら作者は女性だった。)最初の見開きページに村の様子が描かれているのだけど、働く女性たち、遊ぶ子どもたち、そのそばでのびのびしている動物たち、大きな葉っぱが茂る樹木やたわわに実る果実…スリランカの村の生活が描かれていてずっと見ていても飽きない。きつねのホイティもすぐ調子に乗っちゃうけど憎めないやつ。「ホイティ トイティ ホイティティ」が小気味よく、つい口に出して言ってみたくなる。子どももこのフレーズを気に入って、ちょっと言ってみてはウフフと笑っている。

 

 

「ふしぎなえき」(田中六大)

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子どもの最近のお気に入り。ものすごく大きくて、迷宮のようで、恐竜がいたりジャングルもあったり、道案内役のハムちゃんが全然案内してくれなかったり、何もかもがへんてこなふしぎな駅。大きな駅に行くと大人でもどこに何があるやら訳わからなくなっちゃうことがあるけど、子どもなら尚更だろうな。こっそりしりとり要素もあり、迷路やさがし絵もついていて、何回読んでも楽しめる。

 

絵本記録7

「ドオン!」(山下洋輔長新太

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山下洋輔さんというと有名なジャズピアニストだけど、何冊か絵本を出している。元永定正さんとの「もけら もけら」はひたすら言葉の響きとリズムを楽しむ絵本だった。この絵本のテーマもやはり音。鬼の子ドンちゃんと人間の子こうちゃんのケンカが、だんだんまわりの人や動物まで巻き込んで大騒ぎになるのだが、なぜかみんな太鼓を持っていて、それぞれバラバラのリズムを奏でている。てんでごちゃごちゃでめちゃくちゃな音が、ある瞬間突然ドオン!と合う。ここでやっと気づいた。これは即興演奏なんだ。最近読んだ認知症介護に関する本に、即興音楽について書かれた部分があったので、少し引用したい。

介助者は、こちらのしてほしいことを単に伝えるだけでなく、こちらのことばや動きに対して、相手がどんなタイミングでどんな表情や動きを返してくるかに注意しながら、次にやることを瞬時に決めていく。もしかすると、そのあいだに、いままでやったことのない新しい方法を思いついて、それをやってみることになるかもしれない。

認知症の介護は創造的なプロセスだとよく言われる。介助には準備もあるし、予期しているやりとりもある。けれど実際にやってみると、やり方はそのつど微細に違っている。予期したのと違うことが起こった先に、そのときの「創意」が開けている。

これが音楽の即興に似ている。

即興もまた、ただのでたらめではない。たとえ初対面でも、お互いそれまでに何らかの対人経験を持っている。ワークショップを重ねれば、お互いの出方もわかってくる。楽器も用意されている。場合によっては譜面さえ。

それでも実際に音を出してみると、まるで違うことになる。そこから先は相手に注意しながら、次に出す音を(出さない音を)瞬時に決めていく。

(「介護するからだ」細馬宏通 p.175)

ケンカ中は自分のリズムを叩いているだけだったのに、だんだん相手のリズムを聴いて、相手の表情・動きを見て、音が変わっていく。ここだ!というところでみんなが揃う。「ドオン!」ケンカはおさまり、みんな笑って帰っていく。たまたま出会ったドンちゃんとこうちゃん、そのまわりの人たち。突然生まれた偶然のグルーヴ。読んでいるだけで、なぜか自分も演奏に参加しているような気になってワクワクする。

 

 

「へっこきあねさ」(長谷川摂子荒井良二

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子ども大爆笑。これは小学生くらいまでウケるのではないだろうか。有名なお話ではあるが、改めて読むとひたすらバカバカしい。誰も悪者がいなくて基本平和なのもいい。最初屁を恥ずかしがっていたあねさがだんだん自らの屁のパワーを誇りはじめ、立派なスキルとして見事に使いこなすようになるのもいい。屁を出すのはまだしも、吸い込むのはどうやってるのか…。このてのひらむかしばなしシリーズは、長谷川摂子さんの文章の語り口が読んでいて気持ちいい。昔の喋りことばも子どもには新鮮で面白いみたい。また荒井良二さんの絵と描き文字も軽やかで、カラッと明るく笑わせてくれる。

 

絵本記録6

自分のガッツが足りないがゆえに、今まであらゆる知育的なことを諦めてきたが、絵本の読み聞かせだけは続いている。わたしも絵本は好きだし、子どもも赤ちゃんの頃からわりと楽しんでくれるので、まあうちにはこれが合っているのだろうと思う。苦労という苦労はないものの、夜どうしても寝たがらず15冊くらい読まされたり、図鑑を一文字も余さず読まされたり(飛ばして読むと即指導が入る)、もう飽きちゃって明らかに聞いてないのに、読むのをやめたらギャーッと怒り出したりということもあった(今も時々ある)。

最近は話の内容をよく理解できるようになったり、絵の細かい部分まで見て発見したことを教えてくれたり、絵本を通してのやりとりが一段と楽しくなってきた。あとかんたんな本なら自分で音読できるようになった。自分で全部読めるようになったり、親の選んだ本なんて読んでらんねえよとなるのは、いつ頃なんだろうか。もうそんなに遠くない将来だろうか。

 

 

「きょだいなきょだいな」(長谷川摂子/降矢なな)

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「あったとさ あったとさ」ではじまる、リズム良い文章。突然野原に出現した巨大なピアノ、びん、トイレットペーパー…。100人の子どもがやってきて、さてどうなる?シンプルだけど、ワクワクしてくる。子どもたちがイキイキ遊ぶ姿がとってもいい。子どもはこの文章のリズムが気に入ったらしく、オリジナルの「あったとさ」を作って遊んでいた。それがこれ↓

「あったとさ あったとさ/ひろいのっぱら どまんなか/きょだいなにんじんあったとさ/こどもが100にんやってきて/うさぎになって たべたとさ」

 

 

カニ ツンツン」(金関寿夫/元永定正)

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これは無条件に笑ってしまう。思いっきりふざけて読むと大ウケ。表紙にもいるこれは、カニなのか?わからないけど、ずっとけなげに「ツンツン」と言い続ける姿が、なぜか愛らしく見えてくる。元永さんの絵は「もこ もこ もこ」「もけら もけら」などの絵本もそうだけど、ことば以前のことばというか、意味のないことばと相性がいい。絵本の最後に解説があり、

この絵本のことばは、作者の金関寿夫さんが、ご自身で創り出したことばと、様々な形ですでに存在していることばの響きとを、自在に組み合わせてできたものです。

とのこと。そこに記された全文を読むと、ただ笑って読んでいた無意味なはずのことばの羅列が、どこかの国の民謡や、壮大な叙情詩?叙景詩?のようにも感じられるのが不思議だ。しかし歌だろうが詩だろうが子どもには関係ない、ただことばの面白さを楽しむのみ。子どもにとってのことばは、意味から解放されて自由なものなんだなと思う。その軽やかさは、大人が再び身につけようと思っても難しい。うらやましい。

絵本記録5

こどもが春休みだったり風邪引いたり(2回)濃厚接触者になったりGWになったりで、ほぼ園のお世話になれない日々が続き、疲弊していました。久しぶりに絵本記録を書きます。

 

「はらのなかのはらっぱで」(アーサー・ビナード

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こどもが選んだ絵本。表紙の絵が目を引く。胃袋らしきものの中に変な生き物たち。なんだこの不思議な愛嬌あるやつらは?と思ったら、江戸時代の医学書針聞書(はりききがき)」に登場する虫たちなんだそう。かつてあらゆる病は体の中に棲む虫の仕業と考えられており、絵本に登場する18種類の虫たちはそれを図解化したもの。それぞれ棲む臓器も起こす症状も違う。病気を起こす原因なわけで、みんな悪者なのだけど、ちょっと間抜けで愛らしい。わたしのお気に入りは気積(きしゃく)。見た目もいいけど「油物好きのおかず好き」というところもかわいい。こどもは妖怪やおばけの絵本のような感じで楽しく読んでいた。超面白かったので大人にもおすすめしたい。

 

 

「ぶたぶたくんのおかいもの」(土方久功

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名作との噂を聞いてわたしが選んだ。ぶたぶたくんがはじめてのおつかいに行くという、まあかわいいお話なんだけど、絵が…どうにも不穏な感じがする。特に最初に出てくるパン屋のおじさんと、顔つきパン。怖いよ!八百屋のお姉さんも目の焦点が合っていない。絵が違ったらかなり印象が変わるだろうな。歌が出てきたり、早口の部分、ゆっくり読む部分が出てきて、リズムがついて飽きさせない。まあまあ長いお話だけど、数回読んで子どもはすっかり文章を覚えてしまった。

 

子どもとわたし2

子ども4歳、昨年末頃からプリキュアにハマっている。わたしも一緒に楽しく観ている。最近は不正アクセスの問題で長らく放送延期されていたけど、ようやく再開の目処がたったと聞いて親子ともども喜んでいる。

わたし自身は全然世代でもなく、前シリーズ終盤から子どもと見始めたばかりで、まったく歴代プリキュアの知識もないのだけど、先日放送されたオールスター映画のエンディングで、初代プリキュアのテーマを何十人というプリキュアが集まって歌って踊っているのを見て、まるでハロコンのラストでハロメンが勢揃いしてLOVEマシーンを歌っているのを見たかのような、何だかわからんが強くて明るくて可愛いくてまぶしいものを見たぞ!という多幸感・高揚感を感じた。

 

子どもはアニメ鑑賞のみならず、プリキュアカレー、プリキュア茶漬け、プリキュアかまぼこを食べ、プリキュアの絵を描き、プリキュアの歌を歌い踊り、プリキュアごっこに励み、オリジナルプリキュアを開発する毎日。全身全霊で楽しんでいると言っていいだろう。これだけ好きなものがあってほんとによかったねえと思う。

(子どもにこれだけどっぷり好きなものがあると、親としても、おもちゃやら日用品、食品やらの買い物で迷わなくなるから助かる。費用の面はさておき…)

 

子どものそんな姿を見るにつけ、わたしは相当ぼんやりした子どもだったなと思う。4歳の頃何が好きだったかとかほとんど思い出せない。カトちゃんケンちゃんではカトちゃん、ものまね王座ではクリカンが好きだったのをうっすら覚えているけど、どハマりするというレベルではない。今みたいに手軽にいくらでも情報が得られる時代でなかったというのもあると思うけど。

 

子どもはすごくおしゃれにも気をつかう。指輪、ネックレス、イヤリングなどアクセサリーも豊富に持っているし、新しい服を買うといそいそと着替えて数十分は鏡の前でポーズを取っている。絵に描いたようなおませさん。

これもわたしとは全然違う。わたしはかなり無頓着なほうで、身だしなみに気遣うようになったのも相当遅かった。今だって子どもの前でおしゃれしてるかと言うと全然そんなことはない。

 

当たり前だけど、この人はほんとに自分とは別人格で、まったく別の人生を歩んでいくんだな〜というのをこの頃しみじみ実感するようになった。自分でできることも増えて、常にニコイチでなければいけなかった頃とはまた違う面白さと感慨がある。牛に引かれて善光寺的な感じで、むしろ新しい楽しみを教えて分けてもらっている。どんどんわたしの知らない楽しいものを見つけて、生み出してほしい。

絵本記録4

「あ」(大槻あかね

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ほとんどことばがないのに子どもにめちゃウケた絵本。これくらいシンプルな表現、憧れますね。針金でできた人形がイキイキ動いて、絵本なのにモーションアニメを見ているような感じ。「あ」や「ひょ」などの一言だけだけど、毎回読み方を変えてみるのも楽しい。子どもも自分で読めるので、工夫していろんな読み方をして楽しんでいる。 

 

 

「わたしとなかよし」(ナンシー・カールソン/なかがわちひろ

 

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「自己肯定感」とはつまりこういうこと!というシンプルでわかりやすい絵本。おおらかで元気でチャーミングで自分を大事にすることができるブタちゃん(名前がないので仮にブタちゃんと呼びます)が涙が出るほど愛おしくて…。ブタちゃんのように生きたいものです。しかし子どもはさほど印象に残らなかった様子。自分を大事にって、当たり前じゃん!と思ってるのかもしれない。それはそれですばらしいことだ。

 

絵本記録3

こどものとも年中向き2021年12月号「とらのゆめ」(タイガー立石)

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TwitterでTLに流れてきて、気になっていた絵本。まさに「とらのゆめ」で、不思議で奇妙で不条理で、さっぱりわからない。どういうこと?でも子どもは描かれてあることをそのまま受け入れてたのしんで読んでいる。「とらがすいかになって、だるまになったよ」「かいだんのなかにきえていったねえ」とケラケラ笑っている。大人と違って「わからない」ということへの不安がないのかな。むしろ、子どもにとっては普段の生活が「わからない」だらけだから、自然なこととして受け入れられるのかもしれない。「どういうことでもない」ことをそのまま受け止められる子どもの感性の大きさに感嘆する。作者は漫画家でもあり、ナンセンスギャグ漫画を描かれていたとのこと。

 

 

「これはのみのぴこ」(谷川俊太郎和田誠

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最近ではいちばんウケた絵本かもしれない。最初のページは「これはのみのぴこ」だけ。でもページをめくるごとに長〜くなっていく文章。普通に読むのではなく、だんだん早口にして、一息で読んでしまうようにしている。最後の方は息も切れ切れで親子で大笑い。何回も読んでいるうちに子どももすっかり覚えて暗唱できるようになってしまった。小さなのみから出発して、たくさんの人がいろんな関わり方でつながっていく。世界ってこうやって広がっていくんだねという気づきにもなるかもしれない。和田誠さんの絵もスマートで楽しい。