どうでもよくない日記

とりとめない日記です。

働くモチベーション

さっき、東ティモールで働く日本人の方を取材した番組が放送されていて、
観ていたらけっこう面白かったので、書き留めておきたい。
特に録画などした訳でなく記憶だけで書いてるので間違いもあるとは思いますがすみません。

その人の仕事は、NGO職員として東ティモールの主要産業であるコーヒーの製造に関する技術を指導・改善することで、
当初は言葉も通じない、コーヒーの知識もさほどない状態で現地の小さな村に飛び込んだためとても苦労した、という話なんだけど。

実際の状況を把握するために、村の人たちに製造過程を詳しく聞いてまわろうとしても、けんもほろろに断られたのだという。
よほど自分たちが編み出した技術にこだわりがあるのかと思いきや、まったく逆。
そもそも技術の改善ということにまったく興味がないのだと。

そこでその日本人の方は、
技術を学べばより良い商品を作れる=商品がたくさん売れる=みんなの生活が豊かになる
という図式を、とくとくと説明した。
村の人たちはなかなかピンとこないようだったが、熱心な説得が実を結び、村全体で徐々に技術改善に向けての動きが活発化されていった。
豆を選別し、洗浄し、発酵させ、という各過程に明確な基準を作り、徹底するように指導したところ、
本当に今までより高品質な商品を作ることができた。
この体験を経て、村の人たちも自信をつけ、働くことへの意識が高まったのだという。


はっとしたのは、
良いものを作れば生活が豊かになる、という発想そのものがなかった、というところ。
良いものを作れば生活が豊かになるなんて、当たり前のことのようだけれど、その村の人たちにはなかなか伝わらなかった。

それは、村の人たちが怠惰だからとかやる気がないからではなくて、
製造の仕事においてそれまで成功体験がなかったからだと思う。
成功体験というのは収入につながる、という金銭面の話ももちろんそうだけれど、
もっとシンプルなこと、つまり、
ある問題に対策を立て実行し、それに対して良いレスポンスを受けとる、というラリーが成立すること。
それがあるかないかだけで、仕事の手応えってずいぶん違う。
工夫をすれば今よりもっと美味しいコーヒーができる、というとてもシンプルなことに、
おそらくは日本人の方の指導が入るまで、村の人たちは気づく機会がなかったのだ。
なんの成果も得られず、ただただ日々の時間を埋める作業としての仕事って、想像するだにつらいものがある。
成功体験をまず持つことが、モチベーションの基盤になるんだなあ…。

世界で働く日本人の凄さを紹介する趣旨の番組だったのだけど、
個人的には働くことへのモチベーションという点で興味深かった。