どうでもよくない日記

とりとめない日記です。

夫の耳から毛が3本生えていた。
長さは1センチくらい。
耳の軟骨からひょろっと生えていた。
そのことを伝えると、
「ああおれも歳とったなあ。
体が経年劣化でバグってきてんだよ」
と本気だか冗談だかわからない顔で答えた。
とりあえず膝の上に横向きに寝てもらい、
眉切りバサミで目立たないように切ってあげた。
ついでに1本だけぐんと伸びている眉毛もカットした。
切りながら、小さい頃、よく母のひざ枕で顔のうぶ毛剃りしてもらったことをぼやっと思い出していた。
母のにおい、膝の上で見た景色、カミソリの刃があたる感触。
すべて、くすぐったくも幸せな記憶として残っている。

「ありがとう」と言って夫は元気に出かけていった。
わたしたちはまだ若くて健康だ。
共に耳毛の生えるまで、というフレーズがなんとなく浮かんだけれど、
すぐ打ち消した。
でもいつかわたしの体がバグってきて変なところから毛が生えてきたら、
その時夫はカットしてくれるだろうか。